営業の数字づくりに避けて通れない問題とは?

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◆育成だけでは限界がある
 私は教育指導による「育成」が本職である。
 本書『結果を出せない営業はこう立て直す』では、大きな意味の育成を通じて営業強化・再生を果たすガイドライン(指針)とアウトライン(枠組み)を公開した。
 ただし、私が企業へ伺って行うのでなく、社長に代表される上層部が担って成し遂げていただくことが狙いである。
 そうした「育成」という本書の趣旨と異なるが、営業における数字づくりに避けて通れない問題に触れよう。とくに社長に知っておいてほしい。

私はクライアントで自分なりにベストを尽くしてきた。

 現実には、私が予想したより高い成果が上がる企業がある代わり、低い成果に留まる企業がある。社員(個人)についても同じ。
 私はかつて自分の教育指導で絶対に皆の力を伸ばすと意気込んだ。経験を積むうち、どうしても力を伸ばせない社員(個人)がいることを思い知らされた。全体の2割、深刻なのは数パーセントである。概して業績の悪い企業では比率が高い。
 責任逃れをするつもりはない。しかし、成果がいま一つの企業は人材の水準が低いことも一因と考えるようになった。そうでないと説明がつかず、育成だけでは限界があると悟った。敗北感は残るが、私の使命はあくまで業績をよくすることである。また、クライアントもそれを求めている。落ち込んでいるわけにいかない。

私はやがて育成に加えて「採用」を手伝いはじめた。

 おもに中堅・中小企業の中途採用であり、対象は営業職から社員へ広がっていった。和田創研の社員を採用したのは私である。しかも、ポリシーというか方針として、営業活動に携わらない営業講師や営業コンサルタントを認めなかった。ゆえに、事務職を除いて全員が営業職になる。
 私はクライアントの採用を支援し、恥ずかしいくらいの基本を再認識した。

「人材が業績をつくる」と…。

 「人材力は業績力である」。もともとクライアントの数字にしか興味のない私は採用にのめり込んだ。人を相手にするので営業同様、滅茶苦茶面白い。
 さらに、「人材力は成長力である」「人材力は発展力である」。コンサルタントとしての私の経験を振り返っても、人材力がないところで成長持続、まして社業発展を遂げている内需企業は見たことがない。

◆採用も大事に
 すべき 私は、「人材力は採用と育成が両輪になる」と気づいた。当たり前すぎる。

「人材=採用×育成」と…。

 貪欲に会社を大きくしようとする社長はとくに「採用」も大事にすべき!
 この採用と育成を分かりやすく10段階評価で表す。「採用2×育成5」とすれば、社員が発揮するパフォーマンスは10になる。「採用6×育成5」とすれば、社員が発揮するパフォーマンスは30になる。これは個人(当人)でも全員(平均)でも同じ。
 私が見聞きした範囲では、中小企業が「育成5」というのは、社長がよほど熱心でないと難しい。育成のなかでも「教育」は費用がかかり、企業規模がものをいう。そうした現実を踏まえ、本書は中小・零細企業でも行える「指導」を取りあげている。

「育成=教育×指導」。教育がOffJT、指導がOJT。

 先の数式に見るとおり、育成に同等のエネルギーを注いだとしても、採用次第でパフォーマンスに著しい格差がつく。やはり育成だけでは限界がある。
 なお、新卒では育成に重きを置き、中途では採用に重きを置く。これはニュアンスであり、どちらも「採用×育成」に変わりない。
 私はおもに中途採用に携わるようになり、企業がいい人材を採れるかどうかは経営に大きな影響を及ぼすことを肌で感じた。

営業職は業績に直結する仕事なので、なおさら。

 長期にわたって低迷や不振に陥っているなら、とりわけ育成に力を入れているにもかかわらずそうなら、自社の人材の水準が低いのでないかと疑う必要があるだろう。

◆営業職の採用に関心が集まる
 日本では2013年頃から労働市場が「売り手優位」に転じたことも背景となり、企業が社員の採用に一斉に動き出した。
 なかでも景気の回復局面で需要が急増する営業職の採用に関心が集まっている。求人広告だらけだ。
 それと符合するように、採用の手法に対する関心が爆発的に高まっている。具体的に述べれば、「面接」のテクニックを身につけ、応募者を見極めようとする。
 社長は「いい人が採れた」と喜ぶが、ここは考えどころだ。

不況期に見向きもしなかった人を好況期に採っている可能性がある。

 求人氷河期になり冷静さを失っている。それにしても世の社長は何と身勝手なのだろう。

同じ社員の顔が好況期には「プロフィット」に見え、不況期には「コスト」に見える。どうですかぁ~。

 したがって、社長は好況期に社員を採ろうとし、不況期に社員を切ろうとする。

はっきり言う。中小企業は売り手市場で「人材」を採れない。

 買い手市場でもおいそれと採れないのだから…。まして即戦力は…。
 社長が気づいているか分からないが、中小企業が好況期に採っているのはたいてい「人手」である。猫の手を借りても売り上げを立てられる好況期が去ったときが恐ろしい。

顕在ニーズしか刈り取れない人手が“お荷物”にならないだろうか。

 顕在ニーズの代表格が「御用」である。私は業績が振るわない企業で、顧客から引き合いや注文をもらわないとやることがない営業担当者をいやというほど見てきた。
 「リストラは悪」と考える私は、心配になってしまう。

◆面接でいかに見抜くか
 社長が溜め息交じりに私にこぼすことがある。

「面接でさんざんだまされてきた」。

 社員の採用に苦労する中小企業の経営者の多くが抱く後悔の念かもしれない。必然的に「面接でいかに見抜くか」というテクニックにすがりたくなる。のちに述べるが、私はそうした風潮に強い疑問を感じる。
 本書のテーマに絡めて述べれば、“口八丁手八丁”の営業職の採用が一番難しい。何せ毎日のように顧客と面談を繰り返してきた。言葉巧みに商品を押し込んだこともある。百戦錬磨の兵(つわもの)といえよう。実は、社長の嘆きも営業職の採用に多い。

自分という商品の営業活動が「就活」と考えれば、面接は苦もない。

 新卒採用では、学生は社長より面接スキルが上である。就活本を読み、就活セミナーを受け、就活トレーニングを積んでいる。面接は怖くない。
 中途・新卒を問わず、応募者は自分を膨らませようとし、面接者は相手を品定めしようとする。求職側と求人側の両方に知恵を授けるエージェントがあり、採用を一層ややこしくする。

面接は互いのばか試合(←「化かし合い」の変換ミス)と化す。

 だから、私は社長が面接で見抜こうとする気持ちが分かるし、それが無意味と言わない。しかしながら、こうした発想では、いい人材の採用はまず叶えられない。
 そこで、労働市場の需給関係がひっ迫した2014年から、私が最良と信じる採用のセオリーとノウハウを和田創研主催のセミナーで公開するようになった。「求人広告を出しても人が採れない」「求人広告を出しても応募者がない」などの相談が相次いだからだ。

◆思考停止の状態に陥る
私が大切にする採用の数式がある。

「採用=応募×面接」。

 応募者の最高水準が2だとすると、面接者が見逃さないとしても採れる社員は2止まりである。そもそも人材が含まれない応募者を面接のテクニックで見抜いたところで、どれほど自社の成長持続や社業発展に寄与する社員を採れるというのだろう。

「人が足りない⇒求人広告を出す」がセットになっている。

 そうした経営者は思考停止の状態に陥っている。少なくとも“条件反射”で求人広告を出すことだけはやめてほしい。それは採用関連会社が植えつけた発想であり、差別化の放棄につながる。捨てるカネのない企業は自ら進んでライバルとの戦いの土俵に上るべきでない。中小企業まして零細企業が人込みのなかに飛び込んだら埋没する。

人材は、求人広告で偶然採れるものでなく、経営を絡めた仕組みで意図して採るものだ。

 すなわち、腰を据え、狙い澄まして採る。社長が出会い頭の幸運に頼っては、売り手市場で採用関連コストが膨らむばかりである。そうでなくても苦しい収益を間違った採用で圧迫することがあってならない。

◆和田創方式の採用
 私がおもに中小企業の社長に提唱しているのが独自の「理念採用」である。

和田創方式の理念採用は応募者の「水準」を大幅に高める。

 人材を引き寄せるわけだ。
 そして、私が提唱しているのが独自の「社員採用」である。

和田創方式の社員採用は応募者の「価値」を的確に見抜く。

 人材のなかからより優れた人材を選り分けるわけだ。
 ここで用いる「和田創方式 面接票」は、申し訳ないが応募者を丸裸にする。きゃ~っ。
 この「理念採用」と「社員採用」がつながり、ようやくいい人材が採れる。「見抜く」という発想の偏重は、採用する人材の質の向上を妨げている可能性がある。
 私は地方出張のときを除き、なるべく夜間を含めて「経営相談」に乗っている。「提案営業をやれと言ってもやらない」「既存事業や既存商品で利益を出せないが、新しいことを始められない(新しいことを軌道に乗せられない)」といった悩みをしばしば聞かされる。

自社に人手しかおらず人材がいないからだとなぜ気づけないのか。

 社長が採用に関する常識や固定観念を捨てなければ、優秀な社員を入れられない。いわゆる採用本や採用セミナーの類を一体どれくらい多くの企業(社長、人事・採用担当など)が参考にしているか、冷静に考えてほしい。他社との差別化とは、それを捨てること。

社長は自社が豊かになり、社員が幸せになる採用を真剣に考えよ。

 生き残りが至難の時代における採用活動は人手確保でなく人材獲得に重きを置く。
 なお、「理念採用セミナー」「社員採用セミナー」は2日連続で行っている。多忙を極める社長のために、平日コースか土日コースをお選びいただけるようにした。
 私が「鬼の鎧をまとった仏」ということに気づかないようでは、面接上手の応募者はとても見抜けない。日本映画の最高傑作の一つと信じる大映「大魔神」をぜひご覧いただきたい。私は、成長持続と社業発展を目指す中小・地場企業の社長を本気で応援したい。

低コストで優秀な社員を確実に採用する急所を説いている。

 本書『結果を出せない営業はこう立て直す』の最終的な目的を高次元で実現しようとするなら、社長は自社の人材の水準を引き上げることも視野に収めるべきだ。

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