目標達成を確実にするために提案営業はある①
目標達成を確実にするために提案営業はある
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◇目標未達の主因
 日本はこのところの円安の恩恵を受けた輸出型の製造業が引っ張るかたちで景気が持ち直してきた。しかし、企業の大多数は数年間、業績不振にあえいできた。

慢性化したのが「目標未達」だった。

 「喉元過ぎれば熱さを忘れる」。社長はこの諺を肝に銘じてほしい。そこで、目標未達の主因と、その克服の条件について述べる。
 まずは、目標未達の主因を明らかにする。実は、それが引き起こされる理由はたった一つしかない。

「目標数字」に見合った「営業行動」が取れていない。

 私は、こうした観点から営業行動を突き詰めて考える社長に会ったことがない。営業管理者も営業担当者も同じ。数字は「結果」、行動は「原因」という関係である。ゆえに、数字を残せなければ、行動を変えるほかにない。
私が営業立て直し・業績テコ入れで行っているのは、目標数字に見合った営業行動に改めることだ。クライアントには勝ち組も多く、そうした企業では「ストレッチ目標」に見合った営業行動を取らせているだけだ。特別な技を使うわけでない。

前年割れも目標未達も社長の責任である。

 なぜなら、「営業行動」と「営業管理」は一体の関係だからだ。社員(部下)の行動は、社長(上司)の管理に左右される。そして、会社の「管理の仕組み」を決定しているのが社長なのである。営業企画室や営業推進室、営業本部に任せるべきでない。

結局、「営業管理」が目標未達をもたらす。

 社員が目標数字に見合った営業行動を取ることを妨げている。
 私が営業再建屋として、クライアントの営業活動を検証する視点は至ってシンプルである。

営業担当者が数字の伸びる「動き」をしているか。

 この一点。それを促す営業管理になっているか、私は真っ先に確かめる。

「営業は結果がすべて」だからこそ、結果を重んじない。それをもたらす原因を重んじる。管理により行動をどう導くかだ。

 管理は確かに「仕組み」でなければならないが、その側面が強調されすぎている。これでは狭い意味の「管理」に終わってしまう。

社員(部下)は社長(上司)にとり第一の顧客である。

 自分が社長としてやっていけるかどうかは社員で決まる。彼らの働きにより食べさせてもらっている。顧客(彼ら)を管理するなどという発想は愚かなだけでなく失礼である。私は市販のSFAやCRMをほとんど信じない。私がわざわざ述べるまでもなく、人は管理されることが大嫌いだ。その筆頭が社長である。ならば、社員も同じ。
 この辺りについては、私が行う「営業管理者セミナー」で掘り下げている。

管理とは、経営の意思であり、社員へのメッセージである。

 それが明確に伝わるものでなくては管理と呼べないし、管理として機能しない。つまり、成果を上げられない。これを理解している社長はきわめて少ない。

管理とは、燃焼への動機づけである。

 業績の低迷や不振で苦しんでいるとしたら、社長は自社の管理を振り返ってほしい。管理は社員を支配するのでなく解放する。

もっとも肝心なのは社員の営業力が伸び、成長が叶うことだ。

 数字がよくなるのは、その結果にすぎない。
 概して、営業企画室や営業推進室が営業担当者を支配しようとして管理をつくると複雑にしやすい。私が見るところ、とくに営業実態を知らない「ホールディングス」がつくると数字を押し下げやすい。
 かたや、社員は「数字責任」を果たすことが会社への最大の約束事である。

自分が頑張って結果が振るわなければ、頑張りの「有効性」が低い。中身が薄いのだ。

 社長をはじめ、すべての営業関係者が「目標達成」へ向け、収益伸長に直結する行動になっているかを検証することのできる管理に改めよ。
 なお、私は「社長の打ち手」と題する公開セミナーを行い、営業における「目標必達のマネジメント」をテーマに、その急所を説き明かしている。業績の短期回復はもとより劇的拡大を目指す社長や営業統轄役員、経営企画室長などが参加し、大きな反響が寄せられる。
 また、遠方や多忙などの事情で参加できない方のために「社長の打ち手」のセミナーテキスト(実物教材)もお譲りしている。

◇目標未達の克服の条件
 次いで、目標未達の克服の条件を明らかにする。

縮小市場では、「売上=通常営業+開発営業」。

 この数式に基づいた営業行動に改めることが目標達成に不可欠となる。

通常営業による売り上げはじり貧をたどる。開発営業による売り上げをプラスしないと、前年割れに陥る。業績を保てないのだ。

 念を押せば、縮小市場では、年々顧客が減り、年々その予算が減る。ゆえに、ますます商品は売れず、ますます仕事は取れない。そこを何とかするのが営業の使命となる。仕事のやり甲斐は大きくなるばかりだ。
 営業の仕事についたら、市場環境の悪化を目標未達の言い訳にすることが許されない。大丈夫、トレンドとしてどんどん厳しくなる。
 ちなみに、通常営業は「ルーティン」であり、開発営業は「超ルーティン」である。前者は日常的な定型業務であり、後者はそれをはみ出す。

営業担当者は「通常営業」に「開発営業」を織り込む。

 数字目標(目標予算)の達成のためには通常営業に甘んじるわけにいかない。
 とはいえ、多くの業種において、通常営業は売り上げづくりで最重要となる。営業担当者の成績は小さな顧客からこつこつ集めた小さな注文の積み重ねであり、その合算が営業部門や営業拠点の業績となり、最終的に企業の業績となる。
 したがって、「脱ルーティン」でないので注意を要する。通常営業を土台としながらも開発営業を並行させるのだ。むろん開発営業が主体になる業種もある。

結局、縮小市場では開発営業なくして目標達成なし。

 不況期でも同じ。この認識を、社長を筆頭にすべての営業関係者が大切にする。私がクライアントで取り組む営業立て直し・業績テコ入れもここから始まる。
 そこで、「開発営業」について説明を補いたい。その内訳である。

開発営業とは、「既存深耕」「既存拡大」「新規開拓」「離脱奪還」という4つの取り組みの総称である。

 容易な順、それゆえ優先すべき順に並べた。売り上げづくりが早い順ともいえる。
 1.既存深耕。
 既存顧客の深耕の略である。既取引部署を掘り下げること。
 その部署におけるシェアアップを図る。
 2.既存拡大。
 既存顧客の拡大の略である。未取引部署を取り込むこと。
 例えば、「総務部に出入りしているが、営業部に入り込めていない」「愛知工場はつきあいがあるが、福岡工場は手つかずである」。これらを突破する。
 3.新規開拓。
 新規顧客の開拓の略である。未取引企業を切り拓くこと。
 とはいえ、すでに述べたとおり、飽和市場における新規顧客とは、ライバルの既存顧客、ライバル商品の既購入者になる。ここをわきまえないと、アプローチでやってならない会社説明や商品説明をやってしまう。営業担当者はけんもほろろの扱いを受ける。

開発営業は楽しめないと成果がついてこない。

 4.離脱奪還。
 離脱顧客の奪還の略である。かつての既存顧客を取り戻すこと。なお、この離脱奪還は、既存顧客がライバルへ走った事情により難易度が異なる。例えば、一時的な値引きに目がくらむなど出来心からの浮気では、わりとたやすい。こちらに重大な落ち度や過失があった場合には、非常に難しくなる。
 以上。なお、2の「既存拡大」は、すでに口座が開設されているものの、3の「新規開拓」と困難度はさほど変わらない。相手はライバルとつきあっており、ライバルから買っている。

営業再建屋としての私はクライアントに顧客資産を分析させ、この順で業績テコ入れを計画させている。

 ただし、分析の結果、既存顧客に収益伸長の余地が小さいときには、新規顧客の開拓を中心にする。いずれにしろ、縮小市場における目標達成には、開発営業による収益の上積みが条件である。顧客資産分析と収益伸長の実際については「社長の打ち手」で詳しく述べている。

◇開発営業の基礎知識
 「開発営業」に関する基礎知識をまとめておこう。
 開発営業の4つの取り組みには「他社売上の奪取」「接触先の変更」という2つの共通点がある。
 1.他社売上の奪取。
縮小市場で数字を伸ばすにはこれしかない。例えば、営業担当者に「新規開拓は自分の仕事でありません」と言われると、社長(上司)はお手上げになる。また、飽和市場では、自社が取った分だけライバルはへこむので、効果は倍になる。
 2.接触先の変更。
 営業担当者がもっとも嫌うのがこれである。ゆえに、管理でなく支援が必須となる。開発営業に勢いがつくかどうかは、社長(上司)次第である。

通常営業と開発営業は「行う」と「挑む」、「回る」と「対する」など、特性が正反対だ。

 通常営業は地道に行う「農耕営業」である。お決まりの田畑に足を運ぶ。それに対し、開発営業は果敢に挑む「狩猟営業」である。作付面積が年々減っており、この先も生きていくためには獲物のいそうな原野にハンティングに出かける。けんもほろろで追い返されたり、プライドをずたずたにされたり、リスクが大きい。
 また、通常営業では顧客は回るものになる。「量的拡大」が大事になるので、営業活動を広く浅くかける。それに対し、開発営業では顧客は対するものになる。「質的充実」が大事になるので、営業活動を狭く深くかける。
 さらに、通常営業はリレーション系である。「関係性」の形成をベースに、顕在ニーズを刈り取る。それに対し、開発営業はソリューション系である。「役立ち」の追求をベースに、潜在ニーズを掘り起こす。
 これらは例にすぎないが、両者は性格が対照的なのだ。

これまでやってきたことは、開発営業で絶対にやってならない。

 要は、営業の考え方も進め方もやり方も、何もかも一切引っ繰り返す。
 例えば、「ビジネスを後回しにし、ボランティアから入る」「自社について語らず、顧客について尋ねる」「自社の営業マンをやめ、顧客の購買コンサルタントに徹する」「商談をやめ、相談に乗る」・・・。

当たり前だが、「自社第一」の営業活動と「顧客第一」の営業活動は真逆である。

 ところが、売り上げが伸び悩む社長で、これに気づいている人はいない。社員も同じ。

「和田創方式 真逆営業」は顧客の深い共感と大きな信頼を得られるので、社長や社員が驚くほど売り上げが伸びる。

 見積書は商談が決まってから、少なくとも自社を選んでもらってから持っていく。したがって、ライバルとの値引き競争に巻き込まれない。ことごとく真逆にする。

そして、開発営業に用いるのが「提案営業」という手法である。

 言い換えれば、開発営業で成果を収めるには提案営業の実践が必須となる。注意すべきは、営業担当者が通常営業に提案営業を用いると数字を悪くすることだ。資料づくりはここ一番に留める。デスクワークが長くなると、営業は終わる。
 なお、私は「トップセールス」をテーマに、「社長の営業活動」と題する公開セミナーを行い、その考え方と進め方、やり方のエッセンスを説き明かしている。優良顧客や大口商談を取り込む開発営業のキモがわずか1日でつかめる。
 また、遠方や多忙などの事情で参加できない方のために「社長の営業活動」のセミナーテキスト(実物教材)もお譲りしている。
 さらに、開発営業の極意をまるごと移植しているのが「提案営業研修公開コース」である。参加者は講義と並行し、実案件を仕掛けていく。売れない時代に必須のトップセールスに対して苦手意識を持つ社長、そして後継者に最適である。

◇今日の営業管理
 通常営業で売り上げが伸びているとしたら、好況期だからと考えたほうがよい。
 縮小市場で目標予算をクリアするには開発営業が欠かせない。しかし、それに対してストレスどころか恐怖を感じる営業担当者が多い。それも年々増えている。

会社や職場として開発営業を加速させるうえで最大のネックになるのが、社員が失敗を犯さなことだ。

 皆ができそうなことでお茶を濁そうとする。その典型が習慣性の客回り、すなわち通常営業である。
 私が敬愛する浅田真央(あさだ・まお)選手はなぜ失敗するのか。「トリプルアクセル(3回転半ジャンプ)」に挑戦するからだ。彼女を世界のトップに押しあげた原動力である。浅田真央はアイスリンクを普通に滑るくらいなら滅多に転ばない。これを通常営業という。
 営業担当者は安心せよ。開発営業はダブルアクセル(2回転半ジャンプ)でない。せいぜいシングルジャンプ(1回転ジャンプ)である。怖がることもない。

目標未達でも他人事みたいな会社や職場があり、社員がいる。

 なぜなら、皆が本気で挑んでいないからだ。白け切った空気が流れる。
 いまは終了したが、テレビ朝日に「小学生クラス対抗30人31脚」という番組があった。敗れた子どもたちは悔し涙を流す。本気で挑んだからだ。

悔し涙は本気で挑んだ人だけが流せる、尊く美しい涙である。


 社長は開発営業から逃れる社員は成果を伸ばせないと気づけ。社員は開発営業から逃れる自分は成長を遂げられないと気づけ。
 おそらく人生において闘うべきは自分のほかにいない。

開発営業とは、果敢な働きかけを避けたがる弱い自分との闘いだ。

 社員一人ひとりが開発営業を実行する覚悟を決めるとともに、社長は組織ぐるみで開発営業を推進するインフラを整える。それが「管理」である。

今日の営業管理は、社員に「開発営業」という挑戦行動を動機づけるものになっていること! ならば、勝てる。

 社長は新しい営業管理に改め、全員を巻き込んだ「ムーブメント(運動)」に高めることで、たとえ逆風に変わろうと目標予算を悠々とクリアしていく。
 私が営業再建屋として見聞きした範囲では、業績不振企業は大将以下、兵隊が戦って敗れたわけでない。戦いを避けてきた。

長期に及ぶ規模縮小は開発営業から逃げ回ったツケである。

 営業担当者が慣れ親しんだルーティンを繰り返していては、会社を発展させられるはずがない。

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