御社の営業はどれほど頭で稼いでいるか④
なぜ「提案営業研修」なのか
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◇研修の相談
 私は「教育」を主体とし、営業変革の指導に当たるコンサルタントである。かれこれ20年、クライアントにおいて「提案営業研修標準講座」にもっとも力を入れてきた。
 確かに、企業により営業が達する水準は異なり、営業が抱える問題は違う。にもかかわらず私は社長や営業統轄役員と面談すると、すべての関係者が「提案営業」を習得するように勧めることが多い。その理由を明らかにしよう。
 長らく規制に守られ、競争にさらされなかったために「営業」という概念すら存在しない業界や市場がある。が、その規制が取り払われると、周辺企業も入り乱れて″草刈場″の様相を呈する。私は以前、劣勢に追い込まれて業績が悪化した大手企業から研修の相談を受けた。

営業部門を新設し、営業担当者を配置したものの成果がまったく上がっていなかった。

 「まずは営業の基本を学ばせたい」との意向に対し、「どうせなら提案営業を習わせては」との持論を述べた。私は説得に当たり、営業を究めることを″山登り″にたとえた。

「山の頂に立ち、眼下に広がる営業の世界の素晴らしさを実感してもらいましょう」と。

 こうした相談では、社員が営業活動そのものを行っていないことが珍しくない。未経験者が自信を持てないのは当然であり、問題視するほどでない。しかし、営業の仕事に引け目や負い目を感じたり、さらに罪悪感を持っていたりする。これは厄介といえる。
 順番に営業のイロハを積ませていくやり方もあるが、最初に営業の天辺(てっぺん)を見せてしまうやり方もある。営業担当者が成果を上げるには、顧客の「期待水準」に応えうる営業活動のイメージをつかんでおくことが先決だろう。

目指すべき″到達点″がはっきりすれば、そこへたどり着くうえで不足するものを自ら補強しはじめる。

 人により、それが営業のイロハだったりする。
 私は1990年代後半、パソコンの学習に不熱心な中高年の営業担当者が「提案書作成」を条件とした提案営業の実践で追い詰められ、いとも簡単に使いこなせるようになる現実を幾度となく目の当たりにした。プレゼンテーションに持ち込むには、パソコンで資料をまとめざるをえなかったのだ。

人は目的の定まらない学習に本気になれない。

 同様に、到達点の見えない研修に真剣になれない。

◇提案営業の習得

営業に関わる重立った要素をバランスよく身につけていなくては、ソリューションは成り立たない。

 提案営業を実践するとは、営業の「総合力」を発揮することである。提案営業を学習するとは、営業の「総合学」を修了することである。
 提案営業には、顧客が主役の環境下における営業活動はいかにあるべきか、その拠りどころとなる思想と手法、セオリーとノウハウが網羅され、かつエッセンスが凝縮されている。とりわけ右肩下がりの経済、成熟市場における収益伸長に必須となる。

提案営業というと「提案書」に関心が向かう人がいるが、間違いだ。

 営業担当者は「情報提供」から入り、質問と観察で「情報収集」を進め、協同で「課題解決策」を練る。提案書はこうした一連の手続き(プロセス)、一連の行為(アクション)の集大成にすぎない。
 私はかつて、顧客から提案営業研修の「対象」を尋ねられると「2~3年の営業経験があることが望ましい」と答えていた。やがて、「かならずしもそれに固執しなくてよい」と考えるようになった。
 例えば、ある大手企業では、社長が「営業はソリューションへ針路を取れ」と命令し、取締役と営業管理者を含めた全員に「提案営業研修」を実施した。
 その後、毎年、新入社員に実施することにした。私としては講師の仕事が継続するのでとてもありがたいが、社長に「タイミングが早すぎないか」と助言した。しかし、「一向にかまわない」と返答された。「先生の研修はまっさらな状態で受けるほうがいい」。
 同社は現に営業が強く、市場規模の縮小で苦戦するライバルを尻目に業績を伸ばしつづけている。ほとんど勝ちっ放しの状態である。

新人にいきなり「頭で稼がせる」とは、大胆な方針だ。

 これは、同社に提案営業がしっかりと根づいているから可能になった。新人は上司や先輩のサポートが十分に受けられる。
 また、ある大手企業から、「営業アシスタントを戦力化したい。手始めに基礎的なマナーとスキルを教え込んでほしい」と研修の打診を受けた。最終的に「提案営業研修」に落ち着き、当の私が驚いたことがある。これはさすがに珍しい。
 しかし、「セールスベーシックを学んだくらいで彼女らが営業活動をやれるとは思えない。そうした基本が必要なら、実際に取り組むなかで露呈した弱点に絞り、後日、研修を追加するほうが効果的だ」という判断がなされた。
 横文字で「Solution(ソリューション)」と気取ることもなかろう。

ライバルとの知恵比べを勝ち抜かなくてならない今日の営業関係者にとり、提案営業は「必修科目」といえる。

 将来にわたり成長持続を果たしたいと願う社長なら、社員に習得を促せ。
 受講者が終了後のアンケートに記すのは、「営業の仕事に誇りを持てた」「営業の仕事に喜びを感じられた」などである。その大切さが分かり、やる気になったと。社員教育が追求する最大の成果である。だから「提案営業研修」なのだ!

◇社長の仰天
 私は以前、従業員が百人足らずの地方の製造業に「提案営業研修標準講座」で伺った。同社は社長の意向で、ほぼ全員が受講した。大半は営業と関わりがない。
 第1回の2日間の講義が終わった直後、会場でハプニングが起こった。

20代の事務職の女性2人が営業職への配置換えを直訴した。

 見るからに活発な性格の持ち主である。しかし、同社はこうした事態が過去に一度もなく、社長が驚いた。とくに地場製造業では、営業職を敬遠する社員が多い。

私の講義を受けるうち、営業の仕事への誤解が解けるとともに営業の仕事の素晴らしさに気づき、うずうずしてきたのだ。

 実は、私は事務職や技術職、製造職などの社員から、「営業の仕事をやりたくなりました」という感想や指摘をたくさんいただいてきた。やはり「提案営業研修」なのだ!

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