人生企画
セカンドライフへの展望

Copyright ©2015 by Sou Wada
 
◇登場人物
立 郎 夫・50歳 10年後に定年退職
好 子 妻・47歳

立郎・好子夫妻が将来に対して抱く夢が、会話のなかで徐々に具
体的な生活設計へとまとまっていく過程を通じて、人生企画の立
て方を学びます。
この記事は、私の第一作『企画の愉しみ』(日本実業出版社)に収めた原稿です。1992年の刊行から20年以上が経過しました。
この間、ビジネスは進化し、企画も進化したはずです。しかし、人間が考える行為が中心となる企画の本質はそれほど変わっていません。
皆さまに「企画と企画書ができるまで」を感じ取っていただきたいと思い、手を加えずに掲載しました。楽しい会話や豊かな交流のなかで「企画」が育まれ、「企画書」にまとまる過程を実況中継で伝えています。
たそがれるにはまだ早い

◆来るべき事実
立 郎 なぁ、10年後はいよいよ定年退職だ。
好 子 そうだけど、突然どうしたの?
立 郎 そろそろ老後のことを考えなきゃと思ってさ。
◆発想の転換
好 子 老後? そんな暗い言い方、やめましょうよ。
立 郎 じゃ、何て言うんだ
好 子 そうねぇ…。セカンドライフって、どう?
立 郎 ふむ、第二の人生、か…。
◆セカンドライフの意義
好 子 考えてみてよ。私達は生まれてから今日まで、脇目も振
    らずに走り続けてきたわけでしょ?
立 郎 とにかく生きることに精一杯だったからな…。
好 子 そうよ、自分の生き方をじっくり考える余裕なんてなか
    ったわ。だけど…。
立 郎 だけど?
好 子 これからは周到に計画を立てて、人生を思いのままに創
    造していけるのよ。セカンドライフは今までできなかっ
    たことをやれる新しい人生なんだから。
立 郎 まぁ、そうだけど…。
好 子 老後だなんて、たそがれてしまうのは早いわ。もっと前
    向きに考えましょうよ。

◆立郎・好子人生企画案
1.はじめに(基本方針)
  この企画は、
  従来の言葉でいう「老後」の人生設計である。
   しかし我々は「老後」という後向きの言葉でなく、
  第二の人生、
  すなわち「セカンドライフ」という
  前向きの言葉に転換して、これを企画する。
  人間は、当然ながら、最初は自分で立てた計画を
  持って生きているわけではない。
  しかし、「セカンドライフ」は、
  あらかじめ目標を定め、計画を立てたうえで、
  生まれ変わることのできる、
  新たに創造することのできる人生である。
  我々夫婦は、この言葉に望みを託し、
  堂々と、若々しく、今後の人生を歩んでいく。

☞ポイント 最初に、企画の趣旨を散文形式で平易にまとめ
      ています。
ゆとりを楽しむ

◆セカンドライフの方向性
好 子 何よりも、セカンドライフは明るくなくちゃね。
立 郎 そのためには、お互いが健康であることが基本だ。
好 子 体をどんどん動かして「元気過ぎる」って言われるくら
    いにならなきゃね。
立 郎 うん、元気なのはいいけれど、貫禄もほしいな。泰然自
    若、悠々自適。あわてずさわがず、堅実というか…。
好 子 でも、少しくらい冒険も必要よ。
立 郎 心の若さを失わない程度に、だな。
好 子 それから、いつも友達と行き来してるような、交流を大
    切にした暮らし方がいいな。
立 郎 そうだな。友達は人生最高の収穫だものな。
◆セカンドライフのテーマ
好 子 そうねぇ。それから、少し田舎に引っ込んでみない?
立 郎 そうだな。いつも自然と触れていたいよなぁ。
好 子 それと、時間に追いかけられない生活がしたい。自然の
    なかで、ゆとりを思う存分に楽しみたいわ。
立 郎 だけど、置いてきぼりになるのは恐くないか? 世の中
    から取り残されてしまいそうだ。
好 子 大丈夫。友達を周りに集めればいいじゃない。
立 郎 そうだな。ま、後輩から「遊びに来ました」なんて頼ら
    れる感覚がないと寂しいからね。

2.方向性
  セカンドライフを生きるにあたっての方向性
 ①「明るく、元気に」
 ②「悠々と、着実に」
 ③「交流を大切に」
3.テーマ
  セカンドライフのなかで実現したいテーマ
 ①居住環境のテーマ
  「いつも自然に触れられる生活」
 ②生活信条のテーマ
  「時間に追われない生活」
 ③人間関係のテーマ
  「友達の輪の中心になれる生活」
  「頼られる人生の先輩としての自己」

☞ポイント 自分たちの希望を、スローガン風に簡潔にまと
      めています。
憧れの田舎暮らし

◆居住地の検討
立 郎 さて、セカンドライフの拠点だけど…。
好 子 寒いところはダメ。暖かい房総半島がいいな。
立 郎 俺は丹沢がいい。都心に出るにも便利だし。
好 子 まぁ、具体的な場所はこれからじっくり考えましょう。
    ふところ具合とも相談しながらね。
◆田舎に暮らす意義
立 郎 しかしなぁ、田舎は憧れだったよなぁ。
好 子 そうよねぇ。3代続いて東京ですもの。田舎に帰る経験
    ってなかったわね。
立 郎 子ども達もそう思っているんだろうか。
好 子 どうかしら。だけど、小さい時に自然のなかでたっぷり
    遊ばせてやる機会がなかったのは、残念ね。
立 郎 孫が帰れる田舎をつくってやろうじゃないか、親戚一同
    が集まれる田舎をさ。建てるなら、大きなログハウスが
    いいな。
◆家にいる楽しさ
好 子 あまり街に出なくても済む生活がいいわ。家にいる方が
    楽しい、なんて最高ね。
立 郎 そうか?
好 子 そうよ。趣味があればね。
立 郎 趣味ねぇ…。

4.住居
  テーマ実現のための住居の考え方
 ●ロケーション(居住地)
 ①子どもや孫に「田舎」を与える
  3代続いて東京に生まれ育った我家において、帰
  る「田舎」は憧れ
 ②家での生活を楽しむ
  出かける時のメリットよりも、居る時のメリット
  を優先
 ●住居の形態
 ①自然の多い田園地帯または山麓にログハウスを建
  設する
 ②子どもや孫はもとより、親戚や友人を一堂に招待
  することができる大きな建物とする

☞ポイント 目的性のある居住計画の基礎部分を整理してい
      ます。
自給自足でおもてなし

◆趣味的生活
好 子 あなた、何か趣味でも持つといいわ。
立 郎 実は、前から陶芸をやってみたかったんだ。ロクロに向
    かって土いじりなんて最高のぜいたくだな。
好 子 あら、素敵。あたしの知合いに陶芸サークルをやってい
    る人がいるから紹介するわよ。今のうちから少しずつ始
    めるといいわ。
立 郎 お前は?
◆自給自足
好 子 私は、野菜やハーブをつくって、自給自足ができる生活
    が夢よね。それに果物も…。
立 郎 そりゃ結構だな。畑仕事で体を動かせば健康にもいい。
好 子 新鮮な野菜がいつでも食べられるわよ。形は多少悪いか
    もしれないけど…。
立 郎 もぎたてのキュウリで酢の物か。
好 子 それを肴にあなたお手製の徳利とお猪口で晩酌。
立 郎 酒がすすみそうだな。
◆宴会三昧?
好 子 じゃ、うちでつくった野菜や果物を、うちでつくった器
    に盛って、宴会ね。
立 郎 友達や後輩をたくさん呼べるし、いい話の材料にもな
    る。
好 子 私も、料理の腕を磨かなきゃ。

5.暮らし
  テーマ実現のための暮らしのあり方
 ●キーワード
  「自給自足」の生活
 ●暮らしのイメージ
 ①食生活
  野菜は原則として自家菜園で調達する
 ②趣味生活
  立郎は陶芸を、好子は農園をそれぞれ楽しむ
  ※立郎は陶芸技術修得のため、今から近所の陶芸
   サークルに参加
 ③交流生活
  友人や後輩を頻繁に招き入れ、人の輪を広げる
  ⑴宴会、パーティなどの積極的な開催
  ⑵若者の研修の場としての活用

☞ポイント 自分が楽しみたいと思うことをまとめていま
      す。
ちょっとした事業家気分

◆交流のテーマ
好 子 人をたくさん呼ぶっていうのは大賛成だわ。
立 郎 でも、ただの宴会じゃ芸がないね。世代や職業や肩書き
    を越えて、いろんなテーマで自由に交流ができたらいい
    なぁ。
◆セミナーハウス構想
好 子 そうねぇ。先輩から後輩へ職業人としての生き方を説い
    たり、仕事や人間関係のノウハウを伝えるようなセミナ
    ーもいいかもね。
立 郎 今まで仕事で出会った人達を講師に招いて、若い世代が
    話を聴ける場を設ける…。
好 子 ちょっとしたセミナーハウスができるわね。
◆ワークショップ構想
立 郎 俺も若い連中に陶芸を教えたりしてね。
好 子 だったらいっそのこと、陶芸教室とか園芸教室とか、い
    ろんな人が得意分野を披露できる場を提供したらどうか
    しら…。趣味人の溜まり場みたいにね。
◆ミニコミ誌の発行
立 郎 「企画庵セミナー通信」なんてのを発行して、スケジュ
    ールを郵便で知らせようよ。
好 子 参加者の人達に投稿してもらって、ミニコミ誌みたいに
    したらいいんじゃない?

6.交流イベント
  対人交流をイベントとして演出する
 ●交流イベントの種類
 ①世代交流会
  世代や社会的地位を越えた自由な交流パーティを
  開催する
 ②育成セミナー
  立郎の人脈を生かして講師を招聘し、若い世代を
  対象とした家庭的なセミナーを開催する
 ③ワークショップ
  趣味を中心として、参加者の得意分野を披露する
  ワークショップを開催する
 ●イベントの告知方法
 ①開催告知のため、ミニコミ形式の予定表を毎月発
  行し郵送する

☞ポイント 夢がふくらんで「ミニ王国」の内容が具体化し
      てきました。
自然を取り入れて…

◆設計コンセプト
好 子 そうなると、建物のプランもしっかり考えないとね…。
    周りの自然をそっくりそのまま大胆に取り入れたいわ。
立 郎 で、開放的な雰囲気のなかで、会話や交流を存分に楽し
    むというわけだな。
◆間取りプラン
好 子 仕切りの多い、せせこましい間取りはダメ。交流の妨げ
    になるわ。あくまでも、ゆったりとね…。
立 郎 外に向けてテラスがほしいなぁ。それと大きな天窓。
好 子 星が降り注ぐなかでパーティなんて、素敵だわ。
立 郎 パーティをやるにしてもセミナーをやるにしても、とに
    かく大きなリビングが必要だよ。せっかくだから大浴場
    もつくろう。温泉が引けるといいんだがなぁ。
◆インテリアプラン
好 子 それから、内装には木とか石とか自然の素材をふんだん
    に使いたいわ。何ともいえない温かみがあるの…。
立 郎 どっしりとしたレンガ造りの暖炉はほしいところだな。
◆造園プラン
好 子 庭は一面に高麗芝を敷きたいわ。ちょっとしたランチは
    外でとれないかしら。
立 郎 それから、あちこちに灌木を植えたいな。
好 子 私は果物の採れる木がいいな?

7.建築計画
  テーマ実現のための設計プラン
 ●コンセプト
  「森のなかの会話と交流」
 ●間取りの基本方針
  おおらかな開放性を重視
 ①交流を促すため、仕切りを極力減らす
 ②自然の光、風などを大胆に取り入れる
 ●間取りプラン
  交流の場を優先
 ①大型LDK(パーティとセミナーの場として)
 ②工房(ワークショップの場として)
 ③浴室(ふれあいの場として)
 ●インテリアプラン
 ①木、石、土など自然素材の内装使用
 ②レンガ造りの暖炉の設置(LDK)
 ●造園プラン
 ①高麗芝を一面に敷きつめ、低い灌木を植える

☞ポイント 二人の夢を設計プランに色濃く反映していま
      す。
夢実現の代償は?

◆資金計画
好 子 ところであなた、お金の方は大丈夫かしら?
立 郎 俺の退職金だけじゃ、とても無理だなぁ。
好 子 そうねぇ。これだけ大きな別荘を建てるとなると、ここ
    (公団分譲マンション)を売るしかないわ。
立 郎 やっとローンが終わる頃だっていうのにな。
好 子 ま、貯金をしてたと思えばいいじゃないの。
立 郎 お前も気楽だねぇ。ところで、子ども達のことは考えな
    くていいのかなぁ。
好 子 大丈夫よ。10年後には一番下の夢二だって27歳だもの。
    みんな独立してマンションにでも住んじゃってるわ。
立 郎 それもそうだな。
◆運営資金の捻出
好 子 別荘の土地と建物のお金は何とかなるとして、生活費は
    どうするの? 人もたくさん呼ぶことだし、月々の出費
    がかさむと思うの。
立 郎 我々の生活は年金で賄うとして、セミナー関係は少し会
    費をもらおう。そうすれば長続きすると思う。
好 子 それにMMCもあるわね。
立 郎 何だかどんどん減っていくような気がするよ。
好 子 ま、今からせっせと積み立てましょう。食器なんかは少
    しずつ揃えられるんだから。

8.予算計画
  テーマ実現のための資金プラン
 ①準備資金
  食器・家具の購入費
  ⑴ポケットマネーから折半する
 ②初期投資
  別荘の土地と建物の購入費
  ⑴自宅の売却金をシフトする
  ⑵立郎の退職金を充当する
 ③運営資金
  パーティやセミナーなどの開催費
  ⑴少額の会費を徴収する
  ⑵MMCを取りくずす(不足の場合のみ)
 ④生活資金 月々の基本的な生活費
  ⑴二人の年金でやりくりする

☞ポイント 資金手当を、準備期、立上げ期、継続期の3段
      階に分けて考えています。
人生企画書の完成

◆立郎・好子人生企画案

1.基本方針
  我々は、今後の人生を「セカンドライフ」という前向きな言葉に置き換え、明確な目標と
  周到な計画に基づいて、創造的に歩むものとする

2.テーマ
 ①居住環境のテーマ
  「いつも自然に触れられる生活」
 ②生活信条のテーマ
  「時間に追われない生活」
 ③人間関係のテーマ
  「友達の輪の中心になれる生活」
  「頼られる人生の先輩としての自己」

3.住居
 ●ロケーション
 ①子どもや孫に「田舎」を与える
  東京生まれの我家にとって、帰る「田舎」は憧れ
 ②家での生活を楽しむ
  出かける時よりも居る時のメリットを優先
 ●住居の形態
 ①自然の多い田園地帯または山麓にログハウスを建設する
 ②子どもや孫はもとより、親戚や友人を一堂に招待することができる大きな建物とする

4.暮らし
 ●キーワード
  「自給自足」の生活
 ●暮らしのイメージ
 ①食生活
  野菜は原則として自家菜園で調達する
 ②趣味生活
   立郎は陶芸を、好子は農園をそれぞれ楽しむ
 ③交流生活
  友人や後輩を頻繁に招き入れ、人の輪を広げる

5.交流イベント
 ●交流イベントの種類
 ①世代交流会
  世代や社会的地位を越えた自由な交流パーティを開催する
 ②育成セミナー
  立郎の人脈を生かして講師を招聘し、若い世代を対象とした家庭的なセミナーを開催する
 ③ワークショップ
  趣味を中心として、参加者の得意分野を披露するワークショップを開催する
 ●イベントの告知方法
 ①開催告知のため、ミニコミ形式の予定表を毎月発行し郵送する

6.建築計画
 ●コンセプト
  「森のなかの会話と交流」
 ●間取りの基本方針
 ①交流を促すため、仕切りを極力減らす ②自然の光、風などを大胆に取り入れる
 ●間取りプラン
 ①大型LDK(パーティとセミナーの場として)
 ②工房(ワークショップの場として)
 ③浴室(ふれあいの場として)

7.予算計画
 ①準備資金
  食器・家具の購入費
  ⑴ポケットマネーから折半する
 ②初期投資
  別荘の土地と建物の購入費
  ⑴自宅の売却金をシフトする
  ⑵立郎の退職金を充当する
 ③運営資金
  パーティやセミナーなどの開催費
  ⑴少額の会費を徴収する
  ⑵MMCを取りくずす(不足の場合のみ)
 ④生活資金
  月々の基本的な生活費
  ⑴二人の年金でやりくりする

☞ポイント この企画書では、10年後に向けての基本構想をまとめています。今後はさらに内容を具体的に詰めていく必要があ
      ります。

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